時間課金を表す水平な線と、トークン課金を表す右肩上がりの線のグラフ

GPU の時間貸しか、トークン課金の API か:7B〜8B モデルの実際のコスト

コンシューマー向け GPU を時間単位でレンタルする場合と、AI API にトークン単位で支払う場合のコストをわかりやすく比較します。最新の価格、実測の速度、1,000 リクエストの計算例付きです。

Llama 3.1 8B や Qwen 2.5 7B のような小型のオープン AI モデルを使うとき、支払い方法は主に 2 つあります。

  • トークン単位: 企業がモデルをホスティングし、送受信したトークンの数に応じて課金します。
  • 時間単位: モデルが動く GPU を借り、使ったトークンの数に関係なく時間の分だけ支払います。

一方は「100 万トークンあたり $0.04」、もう一方は「1 時間 $0.35」なので、価格を比べるのは無理に思えます。この記事では、両方を同じ単位に換算し、現実的な作業を 1 つ例に計算します。価格はすべて 2026 年 9 月に確認したもので、出典は最後にまとめています。

ステップ 1:コンシューマー向け GPU の生成速度は?

重要なのは、1 つのリクエストに対して GPU が 1 秒あたり何トークン生成するかです。ここでは Hardware Corner の測定値を使います。Ollama のベースにもなっているエンジン llama.cpp で、Qwen3 8B を 4 ビット量子化(Q4_K_XL)、16K コンテキストでテストしたものです。

GPU毎秒トークン数(1 リクエスト)1 時間あたりのトークン数
RTX 3060 12 GB42約 151,000
RTX 309087約 315,000
RTX 4090104約 376,000
RTX 5090145約 523,000

プロンプトが短ければ、もっと速くなります。llama.cpp プロジェクトが公開しているスコアボードでは、より小さい Llama 2 7B を Q4_0、短いコンテキストで動かした場合、同じ 4 枚のカードで毎秒 76、158、186、290 トークンです。この記事では、低めで現実的なほうの数字を使います。

プロンプトの読み込みは、回答の生成よりずっと高速です。同じスコアボードによると、プロンプト処理の速度は RTX 3060 で毎秒約 2,100 トークン、RTX 4090 で約 12,000 トークンです。そのため時間貸しの GPU なら、プロンプトが長くても余分な時間はほとんどかかりません。

ステップ 2:時間単価を 100 万トークンあたりの価格に換算する

時間単価を 1 時間あたりのトークン数で割ります。価格は、2026 年 9 月の GPU レンタルサイトでの一般的なオンデマンド価格を使います。

GPU1 時間あたりの価格出力 100 万トークンあたりのコスト(GPU を休ませない場合)
RTX 3060 12 GB$0.06約 $0.40
RTX 3090$0.20約 $0.64
RTX 4090$0.35約 $0.93
RTX 5090$0.55約 $1.05

大事なのは「休ませない場合」という点です。この数字は、GPU が 1 時間ずっと生成し続けることを前提にしています。半分の時間アイドル状態なら、トークンあたりのコストは 2 倍になります。

ステップ 3:トークン課金 API の料金

100 万トークンあたりの価格(入力 / 出力)です。

モデル提供元入力出力
Llama 3.1 8B Instruct TurboDeepInfra$0.02$0.04
Gemma 3 12BDeepInfra$0.05$0.15
Qwen3.5 9BDeepInfra$0.10$0.15
gpt-4o-miniOpenAI$0.15$0.60
gpt-5-miniOpenAI$0.25$2.00
Claude Haiku 4.5Anthropic$1.00$5.00

注目すべき点は 2 つあります。1 つは、ホスティングされたオープンモデルが非常に安いこと。もう 1 つは、クローズドの小型モデルの出力トークン単価が、最も安いオープンな 8B モデルの 15〜125 倍にもなることです。

ステップ 4:1 つの作業をそれぞれの方法で計算する

1,000 件のリクエストを処理するとします。1 件あたり 1,500 トークン(指示と文書)を送り、500 トークンが返ってきます。合計で入力 150 万トークン、出力 50 万トークンです。

方法作業全体のコスト備考
DeepInfra の Llama 3.1 8B約 $0.05群を抜いて最安
gpt-4o-mini約 $0.53
gpt-5-mini約 $1.38
Claude Haiku 4.5約 $4.00
RTX 3060 をレンタル(1 リクエストずつ)約 $0.21約 3.5 時間
RTX 3090 をレンタル約 $0.33約 1.7 時間
RTX 4090 をレンタル約 $0.48約 1.4 時間
RTX 5090 をレンタル約 $0.54約 1 時間

GPU の数字の計算方法:出力 50 万トークンをステップ 1 の速度で割り、入力 150 万トークンを llama.cpp のスコアボードのプロンプト処理速度で割って足し、時間単価を掛けました。

結果からわかること

使いたいオープンモデルをホスティング型の API が提供しているなら、それが最も安い方法です。 Llama 3.1 8B の場合、出力 100 万トークンあたり $0.04 に迫れるものは、時間貸しにはありません。

クローズドの小型モデルの多くと比べるなら、オープンモデルの性能で用が足りる限り、GPU の時間貸しのほうが安くなります。 休まず稼働している RTX 3060 は出力トークンあたりのコストが gpt-4o-mini より安く、RTX 3090 はほぼ同じです。上の例のように入力トークンも含めて計算すれば、どちらも安くなります。表のどのカードも gpt-5-mini や Claude Haiku より安くなります。7B〜8B のオープンモデルで十分な回答が得られるかは作業によります。分類、項目の抽出、要約、短い書き換えならたいてい問題ありませんが、長い推論は苦手です。

GPU の時間貸しが向いているのは次のような場合です。

  • 必要なモデルがどのトークン課金 API にもない場合。独自のファインチューニング済みモデル、コミュニティのモデル、特定の量子化などです。
  • 従量課金ではなく、1 時間あたりの固定費にしたい場合。たとえばテスト中や、バッチジョブを一晩実行するときです。
  • プロンプトが長い場合。時間貸しの GPU なら、入力トークンのコストはそれを読み込む数秒分だけです。
  • 自分でカードを買う前に、実際のハードウェアでモデルを試したい場合。

トークン課金が向いているのは次のような場合です。

  • トラフィックが断続的で、長い空白がある場合。待っている間は料金がかかりません。
  • 多数のリクエストを同時に処理する必要がある場合。コンシューマー向け GPU 1 台は、デフォルトでは 1 度に 1 リクエストしか処理しません。Ollama の OLLAMA_NUM_PARALLEL のデフォルト値は 1 です。
  • 使いたいモデルがホスティングされていて、その価格に納得できる場合。

プライバシーはどちらにも関わる

トークン課金の API では、プロンプトは API 企業に送られます。GPU をレンタルした場合は、借りたマシンに送られます。たとえば GPUFlow では、モデルはプロバイダー自身のコンピューターで動いているので、プロンプトと回答はそこを通ります。当社のドキュメントにもはっきり書いているとおり、パスワードやカード番号など、知らない人に見せたくないものは送らないでください。本当に機密性の高いデータなら、どちらの方法も、自分のハードウェアでモデルを動かすことの代わりにはなりません。

GPUFlow で試す方法

GPUFlow では、GPU を時間数を指定して借り、OpenAI のキーと同じように使える API キーを受け取ります。課金は秒単位で、早めに終了すれば使わなかった時間分がクレジットに戻ります。自分の用途でのトークンあたりのコストを測るには、次のようにします。

  1. 使いたいモデルが動いている GPU を 1 時間借ります。
  2. スクリプトの接続先を https://gpuflow.app/v1 にして、キーを設定します(方法)。
  3. 返ってきたトークン数を数え、支払った金額をそれで割ります。

実際のトラフィックを 10 分流すほうが、どんな表よりも多くのことがわかります。

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出典

すべて 2026 年 9 月に確認しました。

よくある質問

GPU を時間単位で借りるのは、トークン課金の API より安いですか?

何と比べるかによります。Llama 3.1 8B のような人気のオープンモデルなら、ホスティング型のトークン課金 API のほうが安く、DeepInfra では入力 100 万トークンあたり $0.02、出力 100 万トークンあたり $0.04 です。一方、gpt-5-mini(出力 100 万トークンあたり $2.00)や Claude Haiku 4.5($5.00)と比べると、オープンな 7B〜8B モデルを動かす RTX 3060〜RTX 5090 のレンタルは、どれも GPU を休ませずに使えばトークンあたりのコストが安くなります。gpt-4o-mini($0.60)に対してはっきり安くなるのは、RTX 3060 のような安価なカードだけです。

RTX 4090 で 8B モデルを動かすと、1 秒あたり何トークン生成できますか?

Hardware Corner の測定では、RTX 4090 で Qwen3 8B を 4 ビット量子化、16K コンテキスト、1 リクエストずつ処理した場合、毎秒 104 トークンでした。llama.cpp のスコアボードでは、より小さい Llama 2 7B を Q4_0、短いコンテキストで動かした場合に毎秒 186 トークンとなっています。

レンタルした RTX 4090 で出力 100 万トークンを生成すると、いくらかかりますか?

1 時間 $0.35、毎秒約 104 トークンなら、1 時間で約 376,000 トークンを生成できるので、出力 100 万トークンにかかる GPU 時間は約 $0.93 です。プロンプトの読み込みは回答の生成よりずっと速いため、入力トークンによる上乗せはわずかです。

API より GPU の時間貸しのほうが向いているのはどんなときですか?

必要なモデルがトークン課金で提供されていないとき(独自のファインチューニング済みモデル、コミュニティのモデル、特定の量子化など)、トークンの従量課金ではなく 1 時間あたりの固定費にしたいとき、そして出力 100 万トークンあたり $2 以上かかるクローズドモデルと比べるときです。